日常の事柄を踏まえて住職が語ります
ロシアによる一つの独立した主権国家へ力ずくでその現状を変更させようとの試みはいかなる理由があろうとも二十一世紀の今日では許されないことかと思います。
多くの家来を率いて仏道の妨げをする大魔王のことを仏教上第六天の魔王(別名・他化自在天)と言います。日本では獰猛な武士として知られた織田信長がその代表です。プーチィン大統領はまさに第六天の魔王です。
日蓮聖人は蒙古来襲を預言されて「間違った教えをあがめ、正しい教え(お釈迦さまのご本心を説いた法華経)をないがしろにしたことで他国が攻めて来る」と言われています。天災などを天罰と受けとめた日本人は沢山いますが、他国から攻められることを罰と感じた日本人はおそらく日蓮聖人以外にはいないでしょう?
日蓮聖人の教えは「釈尊、天台・伝教大師に戻れ、法華経に戻れ」という仏教の原点への回帰でした。誰よりも経典をひもとき、誰よりも深く学んだ自負による確信的な主張と思います。古い仏教の経年による変質や堕落に対して妥協することなく批判されました。鎌倉仏教の教祖のなかでこれほど不退転の覚悟を持った宗教者はいなかったでしょう。西洋のキリスト教では時間の経過で宗教が堕落すると預言者(神の言葉を預かった者)が現れて神の言葉を伝えます。いうところの宗教改革です。その姿はまさに日蓮聖人のなされたこととダブります。日蓮聖人は日本仏教界における希な預言者であり、宗教改革者です。日本だけ見ると少し激しすぎる方だったかもしれませんが、やるべきことを果敢にされた宗教者だと言えます。
ウクライナで犠牲になり、苦難を受けておられる市民の方々には冥福をお祈りし、寄り添いたいと思います。募金など出来る支援は何でも行いましょう。
一方で日蓮聖人のお考えに従うとご本仏は何か大きなメッセージ私達人類に伝えてきているようにも思われます。国際社会は大同小異、一丸となってこの痛ましい戦争を止めさせるべくロシアには経済制裁を、ウクライナには種々の支援を各国が陰に陽に行っています。これほど世界が一つになるのはまさにプーチィン大統領のお陰と言えます。加えて今、人類が共通に抱える二酸化炭素による気候変動問題は待ったなしです。エネルギー大国であるロシアの出方によっては生活、産業の基盤であるエネルギー危機が極めて現実味を増しています。そのお陰で省エネや再生可能エネルギーなど環境問題への早急な対応が迫られています。この環境問題に国境はなくこのまま汚染が進めば地球は生物の生存が出来ない状況に陥ると科学者は警告しています。プーチィン大統領はもたついていた私達のそれへの対応の背中を思いっきり押してくれた第六天の魔王です。